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[2013.12.02]
「特定秘密の保護に関する法律案」に反対する声明


 
  「特定秘密の保護に関する法律案」に反対する声明  

 
 


                   2013(平成25年)12月2日
                    福岡県司法書士会            
                    会  長   大 部   孝

特定秘密の保護に関する法律案(以下「法案」という。)は、日本国憲法の基本原理である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義に反する恐れが極めて強く、さらに三権分立、罪刑法定主義等の日本国憲法の理念や規定に照らして、これらに抵触する恐れがある重大な問題点がある。
しかし、政府は、法案についてのパブリックコメントの結果や各地で開催されている抗議行動に示される広範な世論の反対を押し切る形で、本年11月26日に、衆議院にて十分な審議をすることなく採決を強行した。当会はこれに対し、遺憾の意を表するとともに、法案の制定に強く反対する。


1 「特定秘密」の範囲が不明確であり、恣意的に解釈される余地が存在する。
法案は、「防衛」「外交」「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止」「テロ活動防止」の4分野のうち、特に秘匿が必要とされる情報を行政機関の長が「特定秘密」と指定し、その秘密を漏洩した者には、10年以下の懲役に処するというものである。加えて、これらの共謀、教唆、扇動にも刑罰を科そうとしている。
ところで、法案の別表には、「秘密」の対象が例示されているように見えるが、いずれも「電波情報、画像情報その他の重要な情報」など曖昧な表現が多用され、広範な解釈が出来るように規定されており罪刑法定主義に抵触する恐れが強い。特定秘密指定の妥当性を審査する行政から独立した第三者機関の設置もなく、特定秘密指定及び解除に関し、「基準を定める」とはなっているものの、漠然としており、例えば、いわゆる「ツワネ原則」などの公正なガイドラインもなく、行政の長の恣意的判断によって指定される恐れがある。市民の側からの秘密指定を解除する方法もない。また、何が特定秘密であるかが秘密であるから、司法書士の相談業務等に障害となる恐れがある。

2 報道の自由を脅かし、国民の知る権利の否定に繋がる恐れがある。
取材・報道の自由は、主権者である国民の知る権利に資する重要なものであり侵害されることがあってはならない権利である。法案は、「著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とする」とするが、「著しく不当な方法」か否かの判断は捜査当局に委ねられている。
法案には、報道に対する配慮規定はあるものの、単なる努力目標に過ぎず、取材活動が教唆、扇動あるいは共謀にあたると判断される危険性も高い。これにより、取材活動及び報道は自粛され、内部告発も事実上不可能となる恐れがある。これは国民の知る権利の侵害につながる。刑事裁判においても、問題とされた秘密が秘密のままに裁判がなされることとなり、公開の裁判を受ける権利が侵害される危険性がある。司法が行政に従属することになる。
外交問題においては、確かに秘密が必要な場合は存在するが、後世における過去の検証の為には、そのようなものでも20年程度後の公開は不可欠である。法案は、秘密指定の更新を認め事実上永久に秘密にすることも可能である。特に、判断の誤りを含め公権力に都合の悪い情報を隠す為の秘密指定あるいは秘密期間の延長も危惧される。
このように国民は重要な情報から阻害され、公表された情報のみで判断せざるを得なくなり、これは国民の知る権利が大きく制限されることによる、国民主権の原理が侵害される恐れが極めて強いものである。

3 立法が行政に従属することになる。
罰則規定は国民の代表である国会議員にも適用されるので、例えば秘密会で知りえた特定秘密について、秘書や同僚議員と対応を協議することをも処罰の対象となり得る。従って、国会議員の国政調査権の行使も事実上出来ないことになる恐れがあり、国会議員としての権能が削がれることになる。国会は、三権の一翼を担い行政を監視する立場にあるが、これでは国会は内閣に従属することとなり、三権分立という憲法の精神に反することとなる。 

4 秘密取扱者は、「適正評価」によってプライバシー等が侵害される。
法案は、秘密を取り扱う者に対する適性評価制度を導入し、評価対象者の犯罪歴、病歴、経済的状態などをも詳細に調査することが出来るような規定になっている。
自衛隊ですでに行われている「身辺調査」では、携帯の通話記録や調査の際にポリグラフの使用を約束させる等事細かな内容を記載させられ、このようなことが特定秘密を取り扱う公務員、及び関係する民間企業従事者にも実施されることとなる。被調査者の同意を要求しているが、拒否する場合は、辞職するなどの覚悟が必要となり事実上拒否出来ないであろう。これは個人のプライバシーや思想・信条の自由を強制力をもって侵害するものであり憲法の理念に反する懸念が強い。

5 現行法でさえ違憲の疑い
現在でも秘密を守る為に国家公務員法、地方公務員法、自衛隊法、いわゆるMDA秘密保護法の特別防衛秘密の守秘義務等が整備されている。特に自衛隊法96条の2では、民間事業者も含めて処罰対象とし、教唆・扇動・共謀・過失をも罰する広範かつ包括的な内容であり、本法案同様違憲の疑いのある規定である。国民の前から更に広範かつ包括的に情報を隠すことになれば、例えば尖閣諸島における事件等も起こったこと自体を主権者である国民は知り得なかったこととなり、平和主義、国民主権にも反する恐れが極めて強いものである。

以上のとおり、法案は、日本国憲法の基本原理、その他の憲法の精神からほど遠いものであり、当会は、法案に強く反対するとともに、徒に採決を急ぐものではなく、広く国民の意見を聞き慎重な審議を求めるものである。
 

 

 

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