『私たちは最後までヤミ金融と闘います。』宣言」を求める決議

　当会の会員は、その職責として、多重債務者が抱える登録・無登録・090金融等、すべてのヤミ金融の相談に積極的に応じるとともに、自らヤミ金融との交渉にあたり、相談者の多重債務問題の抜本的解決と精神的・経済的再建に向けた業務を遂行し、ヤミ金融撲滅に向けて最後まで闘い続けることをここに宣言する。
2007年（平成19年）5月26日福岡県司法書士会第58回定時総会

【提案の理由】
　昨年可決した「貸金業の規制等に関する法律の一部改正」（以下、貸金業法という。）により、遅くとも3年後には、現在のグレーゾーン金利は廃止され、利息制限法上限利率を超過する利息の徴求等には、刑事・行政罰が課されることとなる。
　これにともない、多くの貸金業者については、すでに有人店舗の廃止、大幅な人員削減、貸金業の廃業などの再編が急速に進んでいる。
　利率が下がったことにより、今後信用調査が厳しくなるのは当然であり、貸金業者による貸し渋りも目立ち始めている。そのため、中小零細貸金業者の中には、建前上、事業を廃止して登録を取り消し闇に潜り、ヤミ金融へと移行する業者もあるものと思われる。

　090金融をはじめ、違法な高利や保証料を徴求する福岡県知事登録(1)（いわゆる福一業者）など、前々から福岡県はヤミ金融の発祥の地とも言われており、市民から付託を受け、また、貸金業法改正の議論の中でも、今後の活動が期待されている私たち司法書士は、その職責として、これらヤミ金融が増大しないように細心の注意を払い、積極的にヤミ金融撲滅に向けた取り組みを行なうとともに、これらヤミ金融に食い物にされている多くの市民を救済する責務がある。
　しかしながら、昨今、多重債務問題に取り組む司法書士が増えたとはいえ「ヤミ金融の相談は受けない」と門前払いするなど、その責務を放棄したり、「債権者にヤミ金融がある場合は他の関係機関や同職を紹介する」などヤミ金融の処理について消極的な同職が多数存在することも事実である。
　本来ヤミ金融の処理は多重債務問題全体のごく一部である。
　多重債務問題に取り組むということは、これらヤミ金融の問題も含め、相談者の生活再建に向けた全般的な解決をはかることである。
　このように、今後私たちが多重債務問題に取り組むうえで、ヤミ金融に対応することは必要不可欠であり、絶対に避けては通れない問題なのである。

　そのため、私たち福岡県司法書士会会員は、ヤミ金融の相談について、会員ひとりひとりが積極的に関与するとともにヤミ金融による被害者が一人もでない方策を講じなければならないと考えるため、本総会において、対内的に会員の意識の統一を図るとともに、あらゆる関係機関に「ヤミ金融問題に積極的に取り組む」こと及び会員が一丸となって「ヤミ金融撲滅に向けて闘う」ことを対外的に宣言し、全会員が「自らヤミ金融の相談に積極的に関与すること」で、相談者の多重債務問題の抜本的解決と生活再建を実効性あるものとする。

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