[2020/03/23]
未成年後見に関する研修会に参加しました!
令和元年度未成年後見研修会レポート
LS未成年後見準備会議 小野 洋平
令和2年2月8日に日司連ホールにて未成年後見に関する研修会が開催されましたので、その内容を報告します。
第1講「未成年後見概論~成年後見制度との違いを中心に~」では、日本司法書士会連合会 後見制度対策部 未成年後見WT座長である久保隆明氏より、未成年後見人の選任から就任中の職務、終了までの一連の流れを、条文を中心に解説していただきました。
また、未成年後見人選任の審判は即時抗告の対象とならず、未成年後見人に審判が告知されたときに効力を生じるという点など、成年後見人と未成年後見人の違いについても説明がありました。
さらには、父母が離婚して一方が親権者となったときに、その親権者が死亡すると未成年後見が開始するとされていますが、家庭裁判所が親権者とならなかった父又は母に対して親権者変更の申立てをするか打診し、実際に親権者変更がなされたケースもあるといった、実務上の扱いや留意点などの話もあり、教科書的な内容に留まらない講義となっていました。
第2講では「未成年後見実務 申立て~終了まで」と題し、宮城県司法書士会副会長の森田みさ氏による講義がありました。第1講を総論的な内容とするならこちらは各論的な内容で、森田先生が今まで経験してこられた複数の事例を交えながら、より具体的に未成年後見業務についての解説をしていただきました。
紹介された事例は多岐にわたり、当然のことなのですが、子どもを取り巻く環境は各々違いそれに伴い問題も様々であるということを再認識しました。
このような事例で森田先生がどのように子どもたちと関わってきたかを話されたあと、司法書士としての未成年後見に何が求められているのか、何ができるのかについての話が続きました。未成年後見業務の中には司法書士が一人では出来ないこともあるので、児童相談所や学校、行政担当者等と連携・相談し合いながら多角的に未成年者への支援をしていく必要があるということでした。
講義の最後に、子どもの自立とは「自分で何でもできるようになること」ではなく、「自分でSOSを出せること」という話がありました。未成年後見も同じで、親代わりになる必要はなく、子どもの力を信じて、助けを求められたらしっかりと対応していき、子どもがいつでも気軽に助けを求められる社会にしていくことが大事であると話されていました。
第3講「未成年後見人の体験談」では、宮城県司法書士会の工藤鮎子氏と愛媛県司法書士会の木原道雄氏に未成年後見業務の体験談をそれぞれ話していただきました。
お二人とも詳細に体験談を話していただきましたが、子ども本人との関係ももちろんですが、親族との関わり方にも苦労されたようでした。そしてそのような時には、家庭裁判所や福祉関係者、医療機関といった他機関と協同して対応されていました。
今回の研修会は講師がみなさん司法書士ということもあり、より実務的な内容の研修となっており、とても参考になりました。未成年後見業務は子どもが成長していく過程に関わる業務で、成年後見とはまた違った困難な状況や問題点と直面することがあると思います。そのような時に相談できる相手や場所を作っておくことが大事だと感じました。