[2020/09/09]
新型コロナウイルス感染拡大が成年後見業務に与える影響
新型コロナウイルスの感染拡大により、三密を避ける・身体的距離の確保等新しい生活様式への対応が社会全体で求められています。こうした状況の下、リーガルサポート福岡支部は、新型コロナウイルス感染拡大が後見人業務に与えている影響を調査するため、下記の項目について当支部会員へのヒアリングを行いました。以下、その内容をお伝え致します。
① 新型コロナウイルス感染拡大の影響で業務遂行上変化があったことや工夫したこと
ご本人が入院・入所中の場合、面会が制限・禁止されているという回答が多く挙げられました。そのため、多くの会員がご本人の状況を把握するため、電話で直接ご本人と話をしたり、施設・病院スタッフ等に対しご本人の状況の聞き取りを行う等の対応を行っていました。施設の中には、ご本人の状況が心配な後見人の気持ちを察してか、ご本人の写真等を送ってくれる所もありました。後見人が行った工夫として、ポストカードを送ったことや、感染拡大を防止するため施設や病院への支払いを振込や現金書留にしたこと、後見人自身が感染し業務遂行ができなくなる可能性を想定して預け金を普段より多くしていること等が挙げられました。さらに、会員の中には、緊急事態宣言中にご本人が入院し手術の立ち合いをしなければならなくなったので、病院に滞在する時間を最低限とするため、できるだけ会員自身の車で待機するなどして濃厚接触を避ける対応をとった会員、また面談室等の室内でご本人と面会するのではなく、施設の敷地内をご本人と一緒に散歩して状況を確認する等の対応をとっていた会員もいました。
ご本人が在宅の場合、定期的に生活費をお渡しする必要があり、ご本人と面会する必要があるため、多くの会員が面会時間を短くする・距離を保つ・マスクの着用及び十分な手の消毒を行った上で面会する等の対応をとっていました。その中で、マスク不足の時期だったため手作りマスクをプレゼントしたところ、ご本人に喜ばれたという会員もいました。
② 第２波に向けた後見人としての取組み・施設の取組み・各施設との連携の再検討などについて
多くの施設・病院において面会制限が一旦緩和されたものの、感染が再度拡大するなか、再び面会禁止となっています。そのため、施設・病院によってはタブレット・テレビ電話を利用して面会を実施しているところもあります。ただ、タブレット・テレビ電話の利用については、今後積極的な利用を検討するという意見がある一方で、慣れないシステムを利用することを本人が拒否するため利用は困難であるといった意見や、ご本人が重度の障害を抱えている場合やご本人と初対面の場合、タブレットでは不十分といった意見もあり、会員間で意見が分かれました。
③ 困ったこと・今後の懸念事項について
困ったこととしては、ご本人に関するものが多く挙げられました。急に会いに来なくなったのは通帳を無くしたせいだとご本人が思い込まれたこと、親族も含め誰もご本人に会いに来ないことにより、ご本人の情緒が不安定となり、施設職員や他の入居者に対して攻撃的な態度をとるようになったこと、面会等の刺激が少なくなったため、認知症状が進行したこと等が挙げられました。また、ご本人が在宅の場合、ご本人が接待を伴う飲食店に行ったため2週間通所停止となったこと、プロ野球を楽しみにしているご本人が開幕延長により残念そうにしていたこと等が挙げられました。
後見人が業務上直面した困難としては、面会できない間に急にご本人が亡くなったこと、入院中のご本人が転院・退院することになったが、受け入れ可能な転院先や施設が見つからないこと等が挙げられました。
今後の懸念事項としては、施設や介護事業者でクラスターが発生した場合、ご本人への介護サービスが限定されること、どのタイミングでご本人との面会を再開するか判断が難しいこと、身寄りが無く在宅で独居生活をされているご本人に毎月生活費を持参しているような場合、後見人自身が感染した場合、頼れる親族がいないため悩ましいこと等が挙げられました。
このように、新型コロナウイルスの感染拡大は、後見業務にも様々な影響を与えていますが、当支部は、コロナ禍で状況が刻一刻と変化するなかでも、会員間で必要な情報共有を行い、今後もご本人にとって最善の利益が実現できるよう努めて参ります。
① 新型コロナウイルス感染拡大の影響で業務遂行上変化があったことや工夫したこと
ご本人が入院・入所中の場合、面会が制限・禁止されているという回答が多く挙げられました。そのため、多くの会員がご本人の状況を把握するため、電話で直接ご本人と話をしたり、施設・病院スタッフ等に対しご本人の状況の聞き取りを行う等の対応を行っていました。施設の中には、ご本人の状況が心配な後見人の気持ちを察してか、ご本人の写真等を送ってくれる所もありました。後見人が行った工夫として、ポストカードを送ったことや、感染拡大を防止するため施設や病院への支払いを振込や現金書留にしたこと、後見人自身が感染し業務遂行ができなくなる可能性を想定して預け金を普段より多くしていること等が挙げられました。さらに、会員の中には、緊急事態宣言中にご本人が入院し手術の立ち合いをしなければならなくなったので、病院に滞在する時間を最低限とするため、できるだけ会員自身の車で待機するなどして濃厚接触を避ける対応をとった会員、また面談室等の室内でご本人と面会するのではなく、施設の敷地内をご本人と一緒に散歩して状況を確認する等の対応をとっていた会員もいました。
ご本人が在宅の場合、定期的に生活費をお渡しする必要があり、ご本人と面会する必要があるため、多くの会員が面会時間を短くする・距離を保つ・マスクの着用及び十分な手の消毒を行った上で面会する等の対応をとっていました。その中で、マスク不足の時期だったため手作りマスクをプレゼントしたところ、ご本人に喜ばれたという会員もいました。
② 第２波に向けた後見人としての取組み・施設の取組み・各施設との連携の再検討などについて
多くの施設・病院において面会制限が一旦緩和されたものの、感染が再度拡大するなか、再び面会禁止となっています。そのため、施設・病院によってはタブレット・テレビ電話を利用して面会を実施しているところもあります。ただ、タブレット・テレビ電話の利用については、今後積極的な利用を検討するという意見がある一方で、慣れないシステムを利用することを本人が拒否するため利用は困難であるといった意見や、ご本人が重度の障害を抱えている場合やご本人と初対面の場合、タブレットでは不十分といった意見もあり、会員間で意見が分かれました。
③ 困ったこと・今後の懸念事項について
困ったこととしては、ご本人に関するものが多く挙げられました。急に会いに来なくなったのは通帳を無くしたせいだとご本人が思い込まれたこと、親族も含め誰もご本人に会いに来ないことにより、ご本人の情緒が不安定となり、施設職員や他の入居者に対して攻撃的な態度をとるようになったこと、面会等の刺激が少なくなったため、認知症状が進行したこと等が挙げられました。また、ご本人が在宅の場合、ご本人が接待を伴う飲食店に行ったため2週間通所停止となったこと、プロ野球を楽しみにしているご本人が開幕延長により残念そうにしていたこと等が挙げられました。
後見人が業務上直面した困難としては、面会できない間に急にご本人が亡くなったこと、入院中のご本人が転院・退院することになったが、受け入れ可能な転院先や施設が見つからないこと等が挙げられました。
今後の懸念事項としては、施設や介護事業者でクラスターが発生した場合、ご本人への介護サービスが限定されること、どのタイミングでご本人との面会を再開するか判断が難しいこと、身寄りが無く在宅で独居生活をされているご本人に毎月生活費を持参しているような場合、後見人自身が感染した場合、頼れる親族がいないため悩ましいこと等が挙げられました。
このように、新型コロナウイルスの感染拡大は、後見業務にも様々な影響を与えていますが、当支部は、コロナ禍で状況が刻一刻と変化するなかでも、会員間で必要な情報共有を行い、今後もご本人にとって最善の利益が実現できるよう努めて参ります。
