りーがるーブログ

[2025/04/18] イベント報告

令和6年度権利擁護支援シンポジウム「チームによる権利擁護支援を考える」レポート

和6年度権利擁護支援シンポジウム
「チームによる権利擁護支援を考える~権利擁護支援チームの役割と
今後の方向性・課題~」
                           
           
 令和7年3月7日、基調講演1~4とパネルディスカッションを内容とするシンポジウムが開催されました。基調講演1~3の要点をレポートします。
 
■基調講演1「中核機関に期待される『権利擁護支援チームの形成支援・自立支援』機能と専門職との連携」
 講師 稲吉江美氏(厚生労働省社会・擁護局地域福祉課 成年後見制度利用促進室 
    成年後見制度利用促進専門官)
 
 中核機関の役割は、「権利擁護支援の地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関や体制」の整備にあると説明され、中核機関が設置された1187の自治体の地域連携ネットワークの「支援機能」と「地域の体制づくりに関する取り組み」の実施状況については、比較的取り組みが進んでいる一方で、「支援の見直し」にかかる検討・調整においては、時間がかかる・調整が必要・専門性が高いといった事情で4割程度と伸び悩んでいる実情があり、令和7年度は、この課題を検証し研究を深め改善につなげていく方針とのことです。
 各自治体等の特色ある取組についてもいくつか紹介されたうち、2件紹介します。
●静岡県島田市:部会を設置し「市民後見人を重視した受任者調整」を推進する取り組み
 担当者レベルのケース会議を実施後、専門職の知見を要する場合にはケース検討を経て、受任調整会議開催。当該会議では、「まずは市民後見人が受任できるか」を念頭に置き、選任形態(単独・監督・複数)を検討している点が評価されている。
●おおた成年後見センター(東京都大田区):市民後見人の多様な受任への取り組み
 市民後見人養成修了者が後見登録メンバーとして登録。専門職からのリレー(専門職監督人)、弁護士からのリレーを視野に入れた追加選任、複数後見など多様な受任の取組をしており、それを支える取組として市民後見人サポート連絡会での情報共有・意見交換や専門職団体と後見登録メンバーとの交流会を実施している。

■基調講演2「中核機関による受任者調整と適切な後見人等の選任・交代―権利擁護支援チームの形成支援の視点から―」
 講師 遠藤圭一郎氏(最高裁判所事務局家庭局第二課長)
 
 「チームによる支援」体制作りの中で、後見人は支援者の一人としてチームの構成員として位置づけられるが、「チームによる本人支援」と「福祉・行政等によるチームに対する支援」が適切になされていることを前提に、家庭裁判所には、①権利擁護支援の検討に関する場面、②後見制度利用開始までの場面、③同制度利用開始後に関する場面において成年後見制度の「運用・監督」機能を期待されています。そのため、家庭裁判所は、福祉・行政等の支援の視点による「チームに対する支援」から本人支援のための適切な調整が必要との情報提供がなされた場合には、その情報を含めて事案を俯瞰して後見人等の選任・交代を判断しているとのことです。
 後見人等の選任は家庭裁判所の判断事項であり、裁判官が独立して判断できる立場であるものの、第二期計画の基本方針に照らせば、チーム支援から得られた情報や受任者調整が行われている場合にはその結果を考慮して、後見人選任選任につなげていくことを家庭裁判所には期待されていると理解しているところであり、特に福祉的な検討を覆すようなことがあってはならないとも言及されました。一部の家庭裁判所では、福祉的な視点の理解を深める目的として、受任者調整会議(模擬会議含む)を見学している家庭裁判所もあり、その数も徐々に増えているとのことで、見学した家庭裁判所からは様々な好意的な声が聞かれているとのことです。見学の他、福祉・行政と家庭裁判所の相互理解につながる取組を今後も考え実践していくことで関係機関との適切な連携につなげていきたいとのことです。
 
■基調講演3「上尾市社協における『権利擁護支援チームの形成支援・自立支援』の実践」
 講師 丸山広子氏(社会福祉法人上尾市社会福祉協議会上尾市成年後見センター
    専門相談員)
 
 「チームを日常生活圏域で下支えできるような形成支援」を目指す中で、まずは種々の知見を取り入れるために上尾市成年後見センター運営委員会の委員からさらに輪を広げて、地域連携ネットワーク連絡会を立ち上げたり、認知症初期集中支援チームを形成したり、親族後見人の支援につなげたりして、色々な集まりの得意分野を本人支援に活かせるような流れを作っり、ネットワークの「種まき」の実践をされたとのことです。
 中核機関は、相談から本人支援のための「チーム」を作るまでには、相談で必要なニーズを拾い上げ、支援調整会議につなぎ、支援調整会議では相談者の課題の抽出と対応の検討をし、相談者にその結果を伝えたり手続きの提案や手続きのためにサポートを要する場合にはその差配をしたり、本人の支援者間の連携に働きかけてチーム形成につなげ、その後はモニタリングを通じてチームの自立に導くことを目指し実践されているとのことです。相談員だけで、あるいは後見人だけでは難しくとも、「チーム」で協力し合いつながっていくこと、そのつながりで分かち合うことが大事であるとのことです。
 「つながり」を一つ一つやっていくことが楽しい仕事ですとの最後の言葉が頼もしく響きました。
                                      以上
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