シンポジウム「行動指針の意義と今後の成年後見制度」レポート
今年は、新成年後見制度制定15周年です。それと一緒に歩を進めてきた成年後見センター・リーガルサポート(以下、「当法人」)も設立15周年を迎えました。これを記念して、平成26年12月13日、東京都千代田区の大手町サンケイプラザにて、頭書のシンポジウムが開催されました。
当法人は、新制度の下で蓄積してきた後見執務の経験を検証し、さらに成年後見制度や意思決定に関する制度先進諸国の法律や基本理念も加味して、3年の期間をかけて『後見人の行動指針』(以下、「当該指針」)を策定し、平成26年5月22日、理事長声明として発表するに至りました。
シンポジウムでは、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授・床谷文雄氏による基調講演「行動指針の意義と今後の成年後見制度の課題」、次いで当法人の「後見人の行動指針策定委員会」委員の古田真理会員及び岸川久美子会員による基調報告「行動指針『7つの区分』の解説」、最後に当該委員会委員長姜信潤会員をコーディネーターに司法書士・弁護士・社会福祉士・市民後見人・マスコミ関係者によるパネルディスカッションが行われ、成年後見制度の実情を省みて課題を抽出し、その中で当法人が提言した当該指針の意義について検証されました。
当該指針は、「自己決定の尊重」「現有能力の活用」「ノーマライゼーション」という成年後見制度の基本理念を基盤にして、より本人の自己決定を充実させることで本人の最善の利益を図るためにはどのような姿勢で執務に臨むべきかを示した一提言です。策定委員会の方からも、当該提言は現時点のものであり、今後も後見執務の蓄積や社会の動向も踏まえながら改変されるものであろうと言及されました。
当該提言を念頭に置きながら、成年被後見人の適切な代弁者としてより充実した後見事務を行い、その経験をまた反映させて提言のさらなる深化につなげていくことも、成年後見制度の社会化の進展には不可欠な努力のひとつではないでしょうか。
リーガルサポートが発表した『後見人の行動指針』の提言については、下記のリーガルサポートのサイトをご覧ください。また、平成27年春に発行予定のりーがるかわら版第5号でも当該指針について特集する予定です。そちらもご期待ください。http://www.legal-support.or.jp/