被後見人等の選挙権の行使について
参議院議員選挙の投票日が近付いてまいりました。皆様におかれましては、被後見人の選挙権行使の方法については確認されましたでしょうか。後見業務としてそれほど意識する機会が多いものではありませんが、その手続きの概要は把握しておく必要があるものと思います。ご存じの方も多いかと思いますが、以下の通り紹介いたします。
1.投票所(期日前)投票
原則的には被後見人の方であっても、投票所に足を運ぶ必要があります。そのうえで、目が不自由である、また病気やケガ等で候補者の氏名が書けない人に対しては、点字投票や代理投票の制度があります。点字投票は点字投票用の投票用紙で投票する方法です。代理投票は係員2名の付き添いにより、代理で候補者の氏名を投票用紙に記載する方法です。いずれも意思表示自体ができる方が前提ということになります。
2.在宅での投票
在宅で投票をするには、郵便等による不在者投票という方法を利用することになります。この方法を利用するためには、事前にお住まいの市区町村の選挙管理員会に対し投票所に行くことができない理由を証する書面を添付したうえで、郵便等投票証明書を郵送請求する必要があります。ちなみに在外投票もこの方法によります。氏名・候補者氏名が自書できる方が大前提となりますが、上肢・視覚の障害で1級の身体障害者であれば代理記載によることもできます。
被後見人等が利用する場合ですが、条件として介護保険の被保険者証の要介護状態区分が「要介護5」であることや一定の重度身体障害者であること等が定められており、利用障壁は高いと言わざるを得ません。
3.施設での投票
被後見人等が施設などに入所している場合、その施設で投票する方法です。ただし、この方法を利用する前提として、当該施設が県の選挙管理委員会に指定されていることが必要です。この指定を得ているか否かについては、個別に入所施設等に確認する必要があります。そのうえで、当該施設の施設長が投票用紙を県の選挙管理委員会に請求することになります。
ご本人の条件は特に制限されていないものの、施設の対応次第であるため、こちらも利用障壁は高いと言わざるを得ません。