りーがるーブログ

[2016/08/02] 報告

第5回研究大会レポート  お待たせしました! 第2弾!!

第2弾! 第2分科会「成年後見実務における意思決定支援」に参加して
 
 第2分科会は、「成年後見実務における意思決定支援」がテーマでした。意思決定支援とは、判断能力が不十分だからといって何でも代理して決めてしまうのではなく、ご本人の意思と選好によるべきとする障がい者の支援の一つです。
 ①自己決定の尊重、②現有能力の活用、③ノーマライゼーションを基本理念として始まった成年後見制度ですが、現状はこのような基本理念が反映されていないのではないかという問題提起から、リーガルサポートでは、平成26年5月に、ご本人とのかかわりを大切にし、代理人であっても、まず、ご本人の意思決定の支援をしようという「後見人の行動指針」を発表しています。(「後見人の行動指針」の詳細についてご興味を持たれた方は「りーがるかわら版 第5号」をぜひご覧ください)

 分科会の第一部前半では、まず、この「後見人の行動指針」における意思決定支援とその考え方について、報告がなされました。
「ご本人には判断能力が全くないと決めつけないこと」。これが、意思決定支援のはじまりであるという話が最初にありました。
 意思決定支援におけるご本人の意思とは、ご本人自身が決めた意思であり、ご本人の性格や生活歴、障がい・病気といった様々な要素から形成される「価値観」によって生まれる「意向・希望」と、ご本人を取り巻く環境(外的要因)から生まれる「動機」が相まって形成されるものです。そして、意思決定支援とは、ご本人自身がその意思を形成し決定できるように、後見人等が可能な限りの支援をすることとなります。
 しかし、ご本人の意思をそのまま実現しようとすると、ご本人の決定がご本人の身体や財産に重大な不利益を生じさせるおそれがある場合も出てきます。そのようなときには、ご本人の意見を十分聞くとともに、わかりやすく説明し、不利益な意思決定を導く原因となった事実誤認、情報不足などを解消することなどで対応していきます。
 さらに、どれだけ努力しても意思決定ができない場合の対応については、ご本人の価値観から導き出される「意向・希望」のくみ取りや推定されるご本人の意思に沿った決定を行うことになりますが、それには、ご本人を知るための適宜の面会や周囲の関係者との連携、コミュニケーションが重要になります。

 第一部の後半では、本年3月5日に開催された当法人主催の「成年後見実務における意思決定支援シンポジウム」での来場者アンケートからの報告がありました。このシンポジウムには、司法書士だけでなくあらゆる職種の方々が多数参加されました。「あなたは意思決定支援についてどのような場面で悩まれましたか」という質問に対する回答からは、福祉職であるか法律職であるか、後見人に就任しているかどうかに関係なく、高齢者や障がい者に関わる誰もが、様々な場面で「意思決定支援」について悩んでいることが窺えました。

  第二部ワークショップでは、事例に基づいて意見交換を行いました。参加者の中では、まずはご本人との信頼関係を築くことが重要という認識は共通しており、課題については工夫を重ねながらご本人への説明を続けていくという意見が多く出ていました。
  意思決定支援というのは、正解のあるものではなく、ご本人の意思を尊重するというプロセスが重要となります。私たちは、意思決定支援の考え方なども学びながら、高齢者・障がい者の方々にとってより良い支援を行えるよう今後も取り組んでまいります。

     





               




            
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