[2017/08/29]
第14回 日本高齢者虐待防止学会全国大会(松戸大会)参加レポート
第14回 日本高齢者虐待防止学会全国大会(松戸大会)
『高齢者虐待対応の刷新を求めて』 参加レポート
平成29年7月15日、千葉県松戸市の森のホール21において、第14回 日本高齢者虐待防止学会全国大会(松戸大会)『高齢者虐待対応の刷新を求めて』が開催されました。
1 シンポジウム『セルフ・ネグレクト』~いわゆるゴミ屋敷に住む人を支援するために構築すべき保健医療福祉のネットワーク~では、行政や地域医療の面から、4例の発表がなされました。
京都市では、平成26年11月11日に「京都市不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する条例」が施行されました。ゴミ屋敷はときに生命の危機・孤独死と隣り合わせでもあることを踏まえ、ゴミ屋敷状態を生じさせている「人」に着目し、その方に寄り添った支援をしていくという考えのもと、保健福祉局が所管して取り組みをしているそうです。
東京都足立区では、平成25年1月1日に「足立区生活環境保全条例」が制定されました。きっかけは、ゴミ屋敷状態でありながら、生活保護のケースワーカー対応では困っていないと言われ、保健師対応では病気になっていないと言われ、対処のしようがなかったケースについて、住環境の美観や治安対策という観点で、道路というハードの面から何とかならないかと持ちかけられたことにあるそうです。しかし、結局は「人」に着目しないとまたゴミ屋敷になることから、条例には支援が盛り込まれることとなりました。
東京都北区では、平成24年度より、地域包括支援センター職員を医療的側面から支援する「高齢者あんしんセンターサポート医事業」が開始され、サポート医が地域包括支援センター職員とともに在宅高齢者を訪問して医療的助言を行っていることが紹介されました。
はちのへファミリークリニックの小倉和也医師からは、医療の世界でもセルフ・ネグレクトが問題となってきており、異変を察知して適切な介入に結び付けるため、家族・民生委員・ケアマネージャー・行政・医療機関などの連携が必要だとの説明がありました。
2 シンポジウム『弁護士による高齢者虐待事案報告~背後にあるものは何か~』
本シンポジウムでは、3人のシンポジストから、高齢者虐待事案の発表がありました。
そのうち、法律事務所くらふと所長の安井飛鳥弁護士からは、認知症の疑いのある70代の父親を精神障害のある40代の息子が介護をしながら同居生活を送っていく中で、息子のストレスや介護疲れがたたって父親に身体的虐待が行われるようになり、死に至ってしまったケースが紹介されました。この事案からは、高齢者虐待防止の取り組みは高齢者福祉のみでは実現しないこと、家族支援という視点が必要であることが明らかになりました。
3 今回、高齢者に関わる様々な立場の人たちから発表や意見表明があり、非常に勉強になるとともに、問題解決の困難さを実感しました。私たちも、成年後見人という立場から、高齢者虐待の対応に関わって行かなければならないと考えさせられました。
『高齢者虐待対応の刷新を求めて』 参加レポート
平成29年7月15日、千葉県松戸市の森のホール21において、第14回 日本高齢者虐待防止学会全国大会(松戸大会)『高齢者虐待対応の刷新を求めて』が開催されました。
1 シンポジウム『セルフ・ネグレクト』~いわゆるゴミ屋敷に住む人を支援するために構築すべき保健医療福祉のネットワーク~では、行政や地域医療の面から、4例の発表がなされました。
京都市では、平成26年11月11日に「京都市不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する条例」が施行されました。ゴミ屋敷はときに生命の危機・孤独死と隣り合わせでもあることを踏まえ、ゴミ屋敷状態を生じさせている「人」に着目し、その方に寄り添った支援をしていくという考えのもと、保健福祉局が所管して取り組みをしているそうです。
東京都足立区では、平成25年1月1日に「足立区生活環境保全条例」が制定されました。きっかけは、ゴミ屋敷状態でありながら、生活保護のケースワーカー対応では困っていないと言われ、保健師対応では病気になっていないと言われ、対処のしようがなかったケースについて、住環境の美観や治安対策という観点で、道路というハードの面から何とかならないかと持ちかけられたことにあるそうです。しかし、結局は「人」に着目しないとまたゴミ屋敷になることから、条例には支援が盛り込まれることとなりました。
東京都北区では、平成24年度より、地域包括支援センター職員を医療的側面から支援する「高齢者あんしんセンターサポート医事業」が開始され、サポート医が地域包括支援センター職員とともに在宅高齢者を訪問して医療的助言を行っていることが紹介されました。
はちのへファミリークリニックの小倉和也医師からは、医療の世界でもセルフ・ネグレクトが問題となってきており、異変を察知して適切な介入に結び付けるため、家族・民生委員・ケアマネージャー・行政・医療機関などの連携が必要だとの説明がありました。
2 シンポジウム『弁護士による高齢者虐待事案報告~背後にあるものは何か~』
本シンポジウムでは、3人のシンポジストから、高齢者虐待事案の発表がありました。
そのうち、法律事務所くらふと所長の安井飛鳥弁護士からは、認知症の疑いのある70代の父親を精神障害のある40代の息子が介護をしながら同居生活を送っていく中で、息子のストレスや介護疲れがたたって父親に身体的虐待が行われるようになり、死に至ってしまったケースが紹介されました。この事案からは、高齢者虐待防止の取り組みは高齢者福祉のみでは実現しないこと、家族支援という視点が必要であることが明らかになりました。
3 今回、高齢者に関わる様々な立場の人たちから発表や意見表明があり、非常に勉強になるとともに、問題解決の困難さを実感しました。私たちも、成年後見人という立場から、高齢者虐待の対応に関わって行かなければならないと考えさせられました。