[2018/06/04]
LSふくおか主催・「子どもへの支援のあり方と未成年後見研修会」参加レポート
平成30年3月10日、LS福岡支部主催による「子どもへの支援のあり方と未成年後見研修会」が、前・後半の2部構成で開催されました。
前半は、福岡市こども総合相談センターの瀬里徳子氏が「社会的養護を必要とする子どもの支援」と題して講義してくださいました。
「社会的養護」とは、保護者のない児童又は保護者に監護されることが不適当であると認められる児童(要保護児童)を、「子どもの最善の利益を考慮」するという理念を以て、保護者に代わって公的責任で社会的に子どもを養育し保護することをいいます。要保護児童となる原因は、親の死亡や行方不明だけでなく、親からの虐待や養育拒否など多様になっており、そのため生活ケアだけでなく児童の心身のニーズに応じたケアにつなげるべく支援の態様も多岐にわたっているとのことです。
そうした要保護児童を社会的養護につなぐ機関として「児童相談所」があります。児童相談所は、18歳未満の児童のあらゆる問題について相談に応じ、関係機関と連携して支援につなげるほか、必要に応じて児童を児童福祉施設や里親に委託したり、緊急性の高い事案においては児童の身柄を一時的に保護したりもするそうです。
社会的養護は、乳児院や児童養護施設等での「施設養護」と養子縁組や里親制度といった「家庭養護」とに大別されています。国連は、子供の「心・情緒」の育ちを重視した場合、施設ではなく家庭での養育が最適であるとの考え方を基礎とした「子どもの代替教育に関するガイドライン」を提唱しています。先ごろ「家庭養護」の採用度の一つの指標として里親等委託率の状況が調査されたところ、他の先進国が50%弱から90%を超える国もある中、日本は未だ17%程度にとどまっており、先進国の中で里親への委託率が極めて低いことがわかったとのことです。施設養護に依拠している現状から家庭養護への転換を図っていくための動向の一つとして、厚生労働省がとりまとめた「新しい社会的養育ビジョン」の中で掲げられた取り組み目標の内容についても紹介されました。
家庭養護を担う制度のうち「里親制度」と「養子制度」についても取り上げられました。どちらも実子ではない子どもを家庭に迎え入れて養育するものではありますが、可能な場合には実親の元へ帰ることも視野に入れて一定期間養育する里親制度と、法律上の親子となる養子制度と、どちらも社会的要請は高いとのことです。
後半は、LS福岡の未成年後見準備会議メンバーである前田美穂会員と桒原和美会員が「司法書士と子ども支援」と題して講義されました。
前半の講義を受けた会員に向けて「社会的養護の現状について知ってしまった今、私たち司法書士は、法律家として、社会的に弱い立場にある人たちを助ける使命も持っている。そのような私たちがこの子どもたちに関わっていかなければならないのではないか?」という講義の出発点を語られた上で、りーがるーブログ(平成30年3月29日)で配信したレポート①・②の内容の紹介の他、「親権」や「未成年後見制度」など子どもに関わる重要な権利や制度について幅広く講義されました。
研修を通じて、社会的養護を必要とする子どもの問題が多様かつ深刻になっている現状をはじめ、施設養護から家庭養護への転換のための体制強化はもとより親のケアにも取り組んでいかねばならないなど、課題が山積していることを改めて認識しました。また「社会的養護を必要とする事情は、子どもの責任によるものではない。喪失体験を繰り返してきた子どもたちが安心して暮らせる体制を整えることは社会的要請である」という瀬里氏の言葉は、特に印象的でした。
瀬里徳子氏 前田美穂会員
前半は、福岡市こども総合相談センターの瀬里徳子氏が「社会的養護を必要とする子どもの支援」と題して講義してくださいました。
「社会的養護」とは、保護者のない児童又は保護者に監護されることが不適当であると認められる児童(要保護児童)を、「子どもの最善の利益を考慮」するという理念を以て、保護者に代わって公的責任で社会的に子どもを養育し保護することをいいます。要保護児童となる原因は、親の死亡や行方不明だけでなく、親からの虐待や養育拒否など多様になっており、そのため生活ケアだけでなく児童の心身のニーズに応じたケアにつなげるべく支援の態様も多岐にわたっているとのことです。
そうした要保護児童を社会的養護につなぐ機関として「児童相談所」があります。児童相談所は、18歳未満の児童のあらゆる問題について相談に応じ、関係機関と連携して支援につなげるほか、必要に応じて児童を児童福祉施設や里親に委託したり、緊急性の高い事案においては児童の身柄を一時的に保護したりもするそうです。
社会的養護は、乳児院や児童養護施設等での「施設養護」と養子縁組や里親制度といった「家庭養護」とに大別されています。国連は、子供の「心・情緒」の育ちを重視した場合、施設ではなく家庭での養育が最適であるとの考え方を基礎とした「子どもの代替教育に関するガイドライン」を提唱しています。先ごろ「家庭養護」の採用度の一つの指標として里親等委託率の状況が調査されたところ、他の先進国が50%弱から90%を超える国もある中、日本は未だ17%程度にとどまっており、先進国の中で里親への委託率が極めて低いことがわかったとのことです。施設養護に依拠している現状から家庭養護への転換を図っていくための動向の一つとして、厚生労働省がとりまとめた「新しい社会的養育ビジョン」の中で掲げられた取り組み目標の内容についても紹介されました。
家庭養護を担う制度のうち「里親制度」と「養子制度」についても取り上げられました。どちらも実子ではない子どもを家庭に迎え入れて養育するものではありますが、可能な場合には実親の元へ帰ることも視野に入れて一定期間養育する里親制度と、法律上の親子となる養子制度と、どちらも社会的要請は高いとのことです。
後半は、LS福岡の未成年後見準備会議メンバーである前田美穂会員と桒原和美会員が「司法書士と子ども支援」と題して講義されました。
前半の講義を受けた会員に向けて「社会的養護の現状について知ってしまった今、私たち司法書士は、法律家として、社会的に弱い立場にある人たちを助ける使命も持っている。そのような私たちがこの子どもたちに関わっていかなければならないのではないか?」という講義の出発点を語られた上で、りーがるーブログ(平成30年3月29日)で配信したレポート①・②の内容の紹介の他、「親権」や「未成年後見制度」など子どもに関わる重要な権利や制度について幅広く講義されました。
研修を通じて、社会的養護を必要とする子どもの問題が多様かつ深刻になっている現状をはじめ、施設養護から家庭養護への転換のための体制強化はもとより親のケアにも取り組んでいかねばならないなど、課題が山積していることを改めて認識しました。また「社会的養護を必要とする事情は、子どもの責任によるものではない。喪失体験を繰り返してきた子どもたちが安心して暮らせる体制を整えることは社会的要請である」という瀬里氏の言葉は、特に印象的でした。
瀬里徳子氏 前田美穂会員