[2018/07/26]
第6回研究大会レポート 第1弾!!
平成30年6月17日、ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋にて公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートによる第6回研究大会が開催されました。リーガルサポートでは、成年後見制度を取り巻く課題や動向に対応するために普段から研究を重ねていますが、その成果を発表することで会員に還元しています。広報部員が取材した分科会について、簡単ではありますが2回に分けて紹介いたします。
第1分科会 「保佐・補助制度の活用に向けて」
従前の「禁治産宣告・準禁治産宣告制度」の利用は、制度への抵抗感が根強く極めて低調であったとのことです。平成12年4月1日、民法を改正して新たに「補助」を組み込み、さらに「任意後見」も創設した制度改変がされ、成年後見制度(以下、「現行制度」という。)の利用数は年々増加し、申立件数はここ数年35,000件前後で推移しています。その一方で、平成29年度の各類型の申立内訳は、後見が約78%に対して、保佐・補助・任意後見を合わせても約22%と、目玉政策である補助・任意後見の利用は伸び悩んでいる実態が窺われています。第1分科会では、リーガルサポート愛知支部が、後見類型偏向の現状から脱却し、保佐・補助制度のより一層の活用へつなげるにはどうしたらよいか、ということに着眼して様々な角度から研究し、最後に「提言」を示しました。
◆「受任者・当事者からみる課題」保佐・補助の活用に関するアンケートより
保佐・補助の活用実態を探るべく、司法書士・その他専門職(社会福祉士・弁護士他)・支援団体で保佐・補助に関わりのある41組へ実施したアンケート結果の報告がなされました。その結果から見えてきた保佐・補助の活用が伸び悩む問題の改善策として、社会全般への制度の周知の徹底、制度の柔軟化(期限付き代理権の採用、課題解決後の制度利用の取消し等)、関係機関の緊密な連携、保佐人等の意識変容(全権掌握型への偏重をなくす等)などが提案されました。
◆報告「諸外国の後見制度とその動向―障害者権利条約を絡めて―」
日本の後見制度の問題点・改善点を検討する前提に、諸外国の後見制度を比較対照することで理解を深めようと、ドイツ・オーストリア・フランス・イギリス・韓国の後見制度が紹介されました。障害者支援の世界的潮流である「障害者の権利に関する条約」の理念に沿い、さらに「大きな後見(過剰後見)から小さな後見へ」という社会的要請を背景とする、「必要性の原則」・「比例の原則(期間制限と見直し)」・「補充性の原則」・「身上監護の重視(⇔財産管理変調からの脱却)」を基底にして、諸外国が独自に制度づくりをしていることが分かりました。
◆報告「意思決定支援の側面から保佐・補助制度を考える」(事例報告)
保佐人による「意思決定支援」の実例を2つ紹介されました。そのうちの1つ、「現実を知ってもらうための本人による年金口座の管理について」のケースは、借金を繰り返す本人への支援について、保佐人が本人に生活の現状を理解してもらいつつ一緒にその立て直しを図る支援を考えているのに対し、福祉関係者は本人の希望に沿い本人が生活を楽しまれることが何よりも優先されるべきと考えており、支援の考え方に大きな隔たりがあることを実感し、それを踏まえて、保佐人は、本人はもちろん周りの支援者にも保佐人の役割について理解を深めてもらう必要性を痛感し、福祉関係の担当者が代わっても対応可能にするために、「情報」と支援についての「意識」の共有を図るべく、地域包括支援センターを軸にした連携ネットワーク作りを実践しているというものでした。
◆報告「保佐・補助制度の活動に向けて~提言~」
保佐・補助の利用割合を高め、活用できるかについて検討していく中で、当該テーマを考えることは「意思決定支援」を考えることに他ならないとの気づきに至ったとのことです。周知・PR、共通理解・情報の共有、必要性・補充性の原則、支援する人への支援、制度の柔軟性ある運用、自己研鑽という6つの項目に分けて、「意思決定支援」を念頭に置いた分科会担当者が現段階でできる「提言」がなされ締めくくられました。
第1分科会 「保佐・補助制度の活用に向けて」
従前の「禁治産宣告・準禁治産宣告制度」の利用は、制度への抵抗感が根強く極めて低調であったとのことです。平成12年4月1日、民法を改正して新たに「補助」を組み込み、さらに「任意後見」も創設した制度改変がされ、成年後見制度(以下、「現行制度」という。)の利用数は年々増加し、申立件数はここ数年35,000件前後で推移しています。その一方で、平成29年度の各類型の申立内訳は、後見が約78%に対して、保佐・補助・任意後見を合わせても約22%と、目玉政策である補助・任意後見の利用は伸び悩んでいる実態が窺われています。第1分科会では、リーガルサポート愛知支部が、後見類型偏向の現状から脱却し、保佐・補助制度のより一層の活用へつなげるにはどうしたらよいか、ということに着眼して様々な角度から研究し、最後に「提言」を示しました。
◆「受任者・当事者からみる課題」保佐・補助の活用に関するアンケートより
保佐・補助の活用実態を探るべく、司法書士・その他専門職(社会福祉士・弁護士他)・支援団体で保佐・補助に関わりのある41組へ実施したアンケート結果の報告がなされました。その結果から見えてきた保佐・補助の活用が伸び悩む問題の改善策として、社会全般への制度の周知の徹底、制度の柔軟化(期限付き代理権の採用、課題解決後の制度利用の取消し等)、関係機関の緊密な連携、保佐人等の意識変容(全権掌握型への偏重をなくす等)などが提案されました。
◆報告「諸外国の後見制度とその動向―障害者権利条約を絡めて―」
日本の後見制度の問題点・改善点を検討する前提に、諸外国の後見制度を比較対照することで理解を深めようと、ドイツ・オーストリア・フランス・イギリス・韓国の後見制度が紹介されました。障害者支援の世界的潮流である「障害者の権利に関する条約」の理念に沿い、さらに「大きな後見(過剰後見)から小さな後見へ」という社会的要請を背景とする、「必要性の原則」・「比例の原則(期間制限と見直し)」・「補充性の原則」・「身上監護の重視(⇔財産管理変調からの脱却)」を基底にして、諸外国が独自に制度づくりをしていることが分かりました。
◆報告「意思決定支援の側面から保佐・補助制度を考える」(事例報告)
保佐人による「意思決定支援」の実例を2つ紹介されました。そのうちの1つ、「現実を知ってもらうための本人による年金口座の管理について」のケースは、借金を繰り返す本人への支援について、保佐人が本人に生活の現状を理解してもらいつつ一緒にその立て直しを図る支援を考えているのに対し、福祉関係者は本人の希望に沿い本人が生活を楽しまれることが何よりも優先されるべきと考えており、支援の考え方に大きな隔たりがあることを実感し、それを踏まえて、保佐人は、本人はもちろん周りの支援者にも保佐人の役割について理解を深めてもらう必要性を痛感し、福祉関係の担当者が代わっても対応可能にするために、「情報」と支援についての「意識」の共有を図るべく、地域包括支援センターを軸にした連携ネットワーク作りを実践しているというものでした。
◆報告「保佐・補助制度の活動に向けて~提言~」
保佐・補助の利用割合を高め、活用できるかについて検討していく中で、当該テーマを考えることは「意思決定支援」を考えることに他ならないとの気づきに至ったとのことです。周知・PR、共通理解・情報の共有、必要性・補充性の原則、支援する人への支援、制度の柔軟性ある運用、自己研鑽という6つの項目に分けて、「意思決定支援」を念頭に置いた分科会担当者が現段階でできる「提言」がなされ締めくくられました。