会長声明等

会長声明等詳細

  • 2008年3月12日
    「福岡法務局前原出張所廃庁に反対する」
 「福岡法務局前原出張所廃庁に反対する」
 
平成20年3月12日 
福岡県司法書士会 会 長 荻林 和則
 
 当会は、現在、福岡法務局において進められている前原出張所廃庁の計画に対して以下の通り声明を発表する。
 
声 明 の 趣 旨
 
  福岡法務局前原出張所(以下、前原出張所という。)が、平成20年度中に廃止されるという情報があるが、これは、平成7年7月4日付「民事行政審議会答申」(以下、「平成7年答申」という。)の「基準」及び「留意事項」に反して登記所統廃合を強行するものであり、当会は国民の権利保護の観点から、これに反対するものである。
 また、同出張所廃庁がもたらす、地域住民に対する行政サービス並びに地域経済への影響等の観点から、地域住民不在のままで進められている廃庁の動きに対し、統廃合に関する「住民説明会」の開催を福岡法務局に強く求めるものである。
 
声 明 の 理 由
 
 1.福岡法務局より、前原地域の首長、司法書士会及び土地家屋調査士会等に対して、前原出張所を廃止(平成20年秋頃を想定)し、不動産登記については福岡法務局西新出張所、商業登記については福岡法務局に統廃合する旨の通告ともとれる説明が行われた。
 
 2.法務局の設置については、上掲平成7年答申において、法務局の支局、出張所の配置に関しては、「地域の自然的地理的諸条件(例えば離島)、社会的経済的諸条件、地域住民の生活指向等、地域の実情に十分配慮すること。地域住民に対し、法務局の適正配置の趣旨及び目的について十分説明して、その理解と協力を求めるとともに、統合後における法務局の位置等の具体的な実施方法については、地域住民の意見をできるだけ尊重すること」として、地域の実情と地域住民に対する配慮が適正に行われるべきものとされている。
 
 3.ところが、この度の統廃合は、平成7年答申が示した基準とは異なり法務行政サービスを受けようとする同登記所管内の地域住民に、福岡市内まで車で片道約40分から60分離れた他の登記所まで行かなければならない不便を強いることになる。また、統合先の福岡法務局西新出張所は、駐車スペースが狭いために利用者にとってたいへん不便であり、法務局周辺での交通の混雑が予想される。 さらに、この度の統廃合の方針は、当局が住民への説明もせず、従って地域の住民の実情を聴取することをせず、一方的に通告したものである。このような当局の姿勢は、上記答申の地域住民の理解と協力を求めるとともに「地域住民の意見をできるだけ尊重すること」とする平成7年答申の趣旨に反するものであり、本件統廃合は不適正なものといわざるを得ない。
 
 4.ところで、平成7年答申は、高度な法務行政サービスの実現を行うために登記所統廃合を行うとし、これまでの登記所統廃合は毎年50庁ほどのペースで行われており、平成19年から平成22年にかけては年間120庁を数値目標として掲げているが、都市部の統廃合に比べ過疎地域における統廃合は3度目、4度目というところも少なくない。そのような中で、本件統廃合管内の前原市、二丈町、志摩町においては、法務局を利用する企業、不動産業、金融機関などの経済的負担は避けられず、今後の市町村の発展に大きな弊害になり、そこには、本来の利用者である市民の姿は見えてこない。
 
 5.以上のことから、市民の不動産に関する権利の得喪変更や商業法人などの登記手続、人権擁護(出張所では人権に関する手続きはしないことになっているが、拒否は出来ないはずである。)等の諸手続などは、市民生活や地域経済活動と密接不可分のものであるのに拘らず、本件統廃合計画が、地域の実情に配慮せず地域住民へ説明責任が果たされていないことから、声明の趣旨の通り、地域住民に対する「住民説明会」の開催及びそれに基づく住民の意思の尊重を求めるとともに、本件統廃合が地域住民にとって法務行政サービスの低下と地域経済の過疎化をもたらすなど、弊害が大きいと思料するから、本件統廃合に反対するものである。
 
以 上
 

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