5月2日(土) 晴後曇り

 一日休養日とする。

 朝からノンビリと過ごす。テントの前に三脚を据え、350mmの望遠レンズをつけて山や谷の写真を撮りつづけた。プルパとパサンは今夜の祝宴のため、下のランタン村まで羊肉を買い出しに行った。こちらでは何か祝宴がないと肉が食卓に上がることはないようである。

 「土産店でも冷やかしに行こうか」と言うとヤンプーが「ここでは買わないほうが良いよ」と忠告してくれた。カトマンズから仕入れてくるので結局高いそうだ。

 店を覗いていると中で店番をしていた青年が「ジャパニ、ナヤカンガ」というので顔を良く見ると、先日カナダ人を先導していた青年であった。私たちはこのキャンジンゴンパから7日を掛けて登山したが、彼らは2日間で往復したのである。カナダ人が疲れたといっていたのが良く理解できる。

 午後から隣の空き地にスイス人のパーティが来た。夜私たちは祝宴を上げることにしていたので、その挨拶もありヤンプーに隣のサーダーを紹介してもらう。彼はスイス在住のネパール人で夫人はスイス人だそうだ。スイスのダヴォスに在住し、冬はスキー場の教師をし、シーズンが終わるとこうしてツアーを組んでネパールのトレッキングに案内しているという。言葉は6カ国語を話すといった。私もドイツ語が話せるよといって、「アインス・ツヴァイ・ダライ」というと後を引き取って「フィーア」といって声を出しておおいに笑った。それにしても生活力の旺盛な人である。必要に応じて言葉を覚えていったのだろう。私たちのサーダーであるヤンプーも英語・日本語が良く理解できる。彼も14歳で結婚し、この世界に入り、ポーターから始め、シェルパとなり今では独立して旅行業を営んでいる。独学で言葉を学んだのである。世界には逞しい人達が沢山いるものである。

 「今夜祝宴をするので騒がしいかもしれないが7時までには終わる」と断って了解を得た。

 

下山

下山

 ランタン・リルン氷河

 キムシュン氷河

 
 
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