5月1日(金)  晴後曇り

 昨夜は顔面の激痛のため眠れなかった。恐らく日射によるものであろう。ヤンプーの顔も腫れあがっている。予備日が一日残っているがキャンジンゴンパに下ることにする。本当はガンジャ・ラからへランブーを見たかったのであるが、目的を達した以上早く下山し、体調の回復に努めなければならない。

 C‖からC1までは1時間弱。登りに3時間を要して苦闘した斜面である。

B・Cに近く狭い谷が合流する谷間に掛かるともう雪面の下から流れの音が聞こえてきた。わずか数日前に登った雪の斜面も溶け始め、ヒマラヤにも確実に雪解けがやってきて、春への動きが急速である。

 

 

下山

 

下山

 下山        

 

 下山

 

 
 

 雪上に張ったB・Cのテントも雪はなくなっていた。雪がなくなった斜面からは蕾をつけたトラプや花弁をつけた桜草がもう顔を出している。B・Cには男のポーター達がキャンジンゴンパから6人ほど上がってきていた。何か短く話し掛けてくる。初めはなにを話しているのか理解できなかったが良く聞くと「サクセス」と言っているのである。「イエス」と返事すると全員が拳を作って腕を振り上げ私たちの登頂成功を祝ってくれた。何やら恐い顔つきをしているが人は良いようだ。

 山稜を越え、雪原を渡り、湿原を通ってランタンコーラに架かった橋を渡ると終わったという心からの安堵感が込み上げてきた。

 
 
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