4月23日(木) 曇り後晴

 ポーター達は朝早く出発していった。

 ラマロッジ
 

 川沿いの緩やかな上りが暫く続き、川を離れて森に入るとシャクナゲが満開である。今年は雪が多く、遅く訪れた春に開花が遅れたようだ。この森を抜けて再び広い川原に出るとロッジが一軒建っていた。5万分の1の地図にもグムナチョクと地名まで書いてあるが家は一軒しかない。ランタン・コーラを目の前にして今の時期にはシャクナゲに囲まれた花園にあるような落ち着いたロッジである。この国のシャクナゲは白から順次色をつけ、ピンクを経て真紅に至るまで9色の花弁をつける。このうち真紅の花が、よく知られているようにラリグラスと呼ばれナショナルフラワーとなっている。ラリグラスの葉は若草のような薄緑色で真紅の花弁との対比が美しく、この国で愛されているのが良く理解できる。

         

シャクナゲの林

ラリグラス

 

 ランタン村が近づくにつれ、子供たちの甲高い声が林の中から聞こえてきた。沢山の人数で遊んでいるようである。ランタン村は人家も多く、子供たちも大勢いるのだろう。村の入り口の水車で回るマニ車を見て、小さな流れを渡り、テント地に着いた(3307m)。一休みしていると先生に引率された30人ほどの子供たちが通り過ぎていった。先程聞こえてきたのはこの子達の、青空教室の中での元気の良い明るい声であったのであろう。

 夕方遅く、私たちの隣に一人の青年がテントを張った。20才前後と思われ、精悍な表情をしている。私たちのメンバーのパサンと何やら話していたが、パサンが私のところにやってきて説明してくれた。彼はチベット人で現在カトマンズでビジネスマンをしているそうだ。仲間とともにトレッキングにやってきたがキャンジンゴンパ上方で高山病に掛かり、一人下山してランタン村で休養し仲間達が降りてくるのを待っているのだそうである。

 

 ヤンプーに聞くと元ポリスマンのパサンはチベット語が理解できるのだそうである。高地族のチベット人でも高山病に掛かるというのには驚いた。

 

 
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