9月21日

 今日のテーマは土地の登記についてだ。ウランバートル市役所の固定資産管理の担当者が参加している。始めに日本法の土地の概念を話し、その後に手続きを説明した。

 昼はモンゴル銀行本店に招待され、その後ガンゾリック氏やデルゲル氏と食事をした。

 午後も土地の登記の続きで、分筆の意味や方法を説明した後、質問を受けた。モンゴルでは長い間、土地の使用は市役所の許可制が続いたので、私有化と許可制の廃止という基本的仕組みの変化についていくのは大変そうだ。

 夜は大使館の的場書記官とインド料理を食べにいった。ホテルに運転手付きのトヨタで迎えに来てくれたので、大使館専用の運転手かと思っていたら、彼が月収15,000円ほどで個人的に雇っているのだそうだ。タクシーの少ないこの国では、それでも高賃金だということである。

 食事の後、クラブのような場所に連れていってくれた。そこでチラホラ見かけたのは派手な格好をした夜のお姉さんたち。的場氏によると、大蔵省の官僚が彼女らと交渉しているらしい。そこに何と昨日の切手売りのおじさんまで出没して皆で大笑い。

福岡市出身の的場氏とは、博多での再会を約束して別れた。

 

9月22日

 セミナー最終日。午前中ジャイカと大使館に簡単な報告に行く。昼はダワー一家とお別れをし、昼食をしてからセミナーに赴く。今日のテーマは強制執行なので、執行官や日本の不動産鑑定士にあたる人などが参加してきた。始めに日本法の執行、とくに任意競売の流れを説明し、手続きの話をした。質問になると、やはり担保についてが多い。熱心な質疑応答がひとしきり続いた後、終了時に、参加者全員と写真を撮った。

 夜は登記局の幹部とのお別れパーティーである。局長は、警察大学の教授・弁護士・公証人を経て、今の地位についたとのこと。次長は、経済学博士で、大学教授・92年より国会議員(予算委員長)の経験者。また総務課長は、教育大学卒ということだ。

 

 モンゴル銀行本店審査部にて
 取締役のガンゾリック氏
 部下のデルゲル氏と
 

 

 局長がまず初めに、「今回初めて登記局職員以外の・銀行・公証人・裁判所の執行担当者・市役所の固定資産管理担当者他、登記に関係する人たちに参加してもらったが、大変好評で、セミナーは大成功だった。」とお礼を述べられた。次に次長(この人が実務の責任者のようだ)が挨拶し、「セミナーは大変参考になった。特に土地・建物に番号をつける点は、早速採り入れたい。資料をいただけたのが大変にうれしい(他の国はこういうことはしないとのこと)大学で日本語を勉強している学生が多いので、翻訳してもらう」とのことだった。その後、モンゴル焼酎アルヒの乾杯が続き、日本の飲み会とは趣の違う盛り上がるパーティとなった。

 

9月23日

 朝7時にホテルを出て空港へ。9時前に飛行機が離陸し、午後1時に関西空港に無事着陸した。何と日本は暑い。長いようで、あっという間の12日間だった。

 

おわりに

 帰日後、法務省民事局第三課やモンゴル大使館へ報告へ行き、又、月報司法書士新年特集号の取材で2度上京した。

 今後については、モンゴル側の強い要望を受け、JICA・日司連では、この法整備支援事業を5ケ年計画とする予定だそうだ。

 この度の派遣に際しましては、福岡県司法書士会の先生方の暖かい激励のおかげで、何とか第1回目をクリアできましたことを心からお礼申し上げます。そして、もしもこの日記を読んでモンゴルに興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、是非この事業に御協力下さいますようお願い申し上げます。

 
 
もどる