4月28日(水曜日)

午前中は次長に、モンゴルの財産法と登記法を聞いた。最近モンゴルでも内閣の方針で民営化が進んでおり、それをサポートする登記の重要性が国民に理解されはじめて、事件数が増加しているとのこと。そのため将来的には手続きをコンピュータ化するための予算はすでに世界銀行から承認を得ているらしい。この点についても日本の経験を学びたいとのことで、全面的に協力を依頼された。

 登記に関係のあるアパートの権利形態は、日本のような所有概念ではなく、利用中心の権利となっているようだ。そのために、家族が住む場合は所有者とともに「共同利用者(多くの場合は妻や子供)」が登記され、担保に入れる場合にはその人たちの承諾も必要になるらしい。

 土地を所有できるかと聞いたところ、土地管理局に使用料を払えば、使えるという。使用期間は、モンゴル人は無期限で、外国人は原則として60年だが、その後40年は更新できるとのこと。しかし、それも建物所有のように利用の目的があって初めて許可が出るらしく、やはり所有ではなく「利用権」だ。利用権が動く原因には、売買、贈与、交換、相続があり、担保もある。ただ、各々の内容は日本法とはだいぶ違うようで、特に担保は日本法の抵当権のように交換価値を支配する観念上の権利ではなく、所有(利用)権を直接拘束する英米法のモゲージに近いようだ。

 登記局近くの風景
 私有化されたアパートの1階を
 改造して作ったブティック

 

 昼休みには、前回知り合ったダワーの家に行き、昼食をご馳走になる。出された食事は羊の肉を炒めてごはんにかけたもの。私はこれが苦手なので、斎藤先生とウラナ君に半分手伝ってもらった。

 午後は、登記官に手続の実情を聞いた。日本と違っているのは、固定資産管理局は組織は国家機関で職員は国家公務員だが、会計は独立採算のエージェンシーだということ。現在登記官は8名で、各自が調査と記入と校合をし、最終的には局長(次長)がサインして完了する。

勤務時間は午前9時から午後5時までで、午前中の2時間は特急の登記を処理し、そのあと通常の登記を1人で1日平均30件程度こなすとのこと。

 夕食は、大使館の的場夫妻と、アフリカ料理を食べに行く。セネガルの料理ははじめてだったが、久しぶりに肉以外のものを味わった。

夜ホテルに帰って、顔を洗っていたら、いきなり大音響がした。一瞬何が何だかわからなかったが、顔をあげると、天井の一部(照明カバー)が目の前に落ちてきていた。ドライヤーが壊れていたり、シャワーがぬるかったり、それも時々茶色くなるくらいのことは何とか我慢してきたが、一歩間違えば大けがのこればかりは許せない。

 ウランバートルホテルは、この国では最高級ホテルの1つで、しかも今回は、せめてホテルでは快適に過ごすため、一部自己負担でl泊102ドルのデラックスルームにしたというのに。早速フロントに電話してクレームをつけると係員がやってきたので、この件を支配人に取り次ぎ、宿泊料金に便宜をはかるよう要求した。

 

 前回知り合ったダワー一家と
 再会
  

もどるつづき