4月29日(木曜日)
午前中は、まずモンゴル銀行のエコノミストを皮切りにウランバートル市土地管理局の担当者2人にも会った。モンゴルで建物を建てる場合には、土地管理局に一定の土地を利用したい旨の申請書を出し、都市計画調整委員会の許可を得てそれを登録する。現在ウランバートル中心部では家族の人数にかかわらず、1世帯につき500〜700Fの範囲で宅地として利用することができるとのこと。利用者の台帳には図面が添付され、現地には境界を明確にするための鉄の杭が打たれる。建物が売買された場合には土地の利用権は建物の所有権に付いて買主に移転し、台帳の土地利用者の登録を変更するとのことであった。土地利用料は市役所に払い、去年聞いた土地のみの分譲は、まだ始まっていないらしい。
 アパートの場合は管理公社が住民を代表して市役所と土地利用の契約をするらしいが、今のところ駐車料は無料で敷地内の好きな所に置いていいそうだ。
次に、評価会社の社長、バイカル氏の話を聞いた。この「評価会社」という存在が、私達にはピンとこないが、市場経済に移行して、原則として全ての物が商品である世の中になっても、需要と供給のバランスによって商品の値段が決まるシステムに慣れていない国民のために個々の物に公正な値段をつけるために考えられたもののようである。何でも鑑定団みたいなものだが、この業務のためには大蔵大臣と法務大臣の認可が必要であり、現在ウランバートル市内に約40社存在するとのこと。業務内容は一般的には何でも鑑定評価するのだが骨董品(先祖伝来の嗅ぎタバコの入れ物など)は避けるとのことで、主に自動車や不動産など資産価値の高いものが対象のようである。どうしてこれが今回の調査対象になったかというと、モンゴルの登記が資産価値の登録をも伴うからで、彼らが作成した建物の評価報告書が、登記申請書に添付されるのである。ちょうど昼食時間になったので、一緒に食事をし、午後は彼の会社を訪ねることにした

 日用品を売るマーケット

 彼の会社は、鑑定評価の他に、不動産の仲介と、金融業もやっていて、モンゴルに来て初めて不動産売買や担保の実情にふれることができた。
 モンゴルの金融の現状は、返済期限1月で利息は月利8%、融資金額によってはアパートなどを担保に取るが、その場合アパートの資産価値の6割が融資の上限とのことであった。債務不履行の場合、当然担保の実行になるわけだが、この辺が日本とは大きく異なり、まず裁判所に担保物件を債務者(設定者)が売却して債務の返済にあてるよう訴えなければならず、その場合、裁判官によって判断がまちまちで、債務者(設定者)の高齢、貧困、その他特段の事情(例えば冬のモンゴルでは住居がないと凍死してしまうとか)が考慮され、実行が猶予されてしまうと嘆いていた。

 登記所近くの風景

つづき