4月30目(金曜日) 午前中は執行官に担保の実行手続を聞く。モンゴルでは競売は、執行官と固定資産管理局が“共催”するとのことで、局には落札の際にならすドラまで置いてあった。 担保の実行は、日本法とだいぶ違う。債務不履行があると、債権者は裁判所に担保目的物の売却命令の申立てを行い、命令が出ると執行宮が、例えば担保目的物が債務者のアパートなら、債務者を立ち退かせてドアに鍵をかけ封鎖する。つまり、物理的に差し押さえるわけだ。 次に固定資産管理局にそのことを通知すると、局は登記薄に売却命令が出されてアパートが封鎖されたことを記入する。ここまでしたら、1週間から1月の間、債務者の任意の支払いを待つ。それでも履行がないと、実行日を決定して新聞や、時にはテレビ・ラジオに広告を出す。売却価格は執行官と債務者が合意して決めるが、価格不一致の場合は管理局が決める。 競売は、同一物件について3回行なうことが可能で、1回目で競落しないと代金を最大50%まで下げて再競売し、それでも競落しなければ、さらに減額して競売を行なうとのこと。 競落すると、買受け人は代金を執行官の口座に払込む。執行官は競落の証明書を出し、買受け人はそれを添付して自分の名義にする登記を申請し、管理局はその登記の際に差押の登記を抹消して、一連の手続が終了するとのことだ。 昼食は、局長以下の幹部職員を、先日の夕食のお礼に近くのドイツレストランに招待した。 冒頭、局長から、「次回は地方の登記官のために是非地方でもセミナーを開催してください。」と言われ、JICAへの派遣要請書を手渡された。普通はこの辺で手元のグラスで乾杯となるわけだが、待てど暮らせど何も出てこない。昨日下見に訪れた時には「15分で料理はできます。」と言ったくせに、20分でやっと飲み物が出され、次の料理までにさらに20分かかる。そのうち何も食べていない局長がタイムリミットとなり、1番初めに席を立った。招待した側としてはなんだか申し訳なかったが、他の人たちはあまり気にしていない様子で共産党時代のジョークなどで盛り上げてくれた。 少し長めの昼休みの後、局に帰り、次長と意見交換をした。彼は、日本の登記情報の公開方法に大変興味を示し、モンゴルでもこれを積極的に進めたいというので、現在の登記事項の内必要なものとそうでないものを指示した。さらに登記の迅速かつ正確な処理のためのアドバイスを頼まれたので、窓口に殺到する申請人を思い出し、2つの提案をした。
1つは登記相談官をおくこと。そうすれば登記官は申請書の書き方を説明する時間が省ける。
5月l日(土曜日) 朝5時前に起きて、荷造りを済ませ、6時にホテルを出て空港に向かった。定刻7時45分に飛行機が動き出したので、やれやれと思っていたら、故障のため引き返すというアナウンス。待合室に戻ったとたん、急にお腹が空いたので同じホテルだった商社マンの人と喫茶店に入る。モンゴル通の彼にここでボンカレーが食べられることを教えてもらった。これならさすがにすぐ来るだろうと思ったが、30分も待たされたあげく、辛口を頼んだのに甘口が来た。9時半過ぎにやっと搭乗のアナウンスがあり、2時間遅れて離陸、3時過ぎに無事関西空港に着陸した。ゴールデンウイークなのでそのまま福岡に帰らず、京都のいとこの所へ。 途中のリムジンバスから見る新緑の美しさが目にしみた。やっぱり日本はいい国です。
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